最高の悪女

2人の子供をもつシングルマザーのニナ。
昼間は普通のOL。
時々風俗嬢。
表の顔と裏の顔を使い分ける悪女。
そんな彼女に惹かれ餌食になる男が今夜もまたひとり。
誰も知らない女の日常を赤裸々に綴る短編集。

第1章 暗闇

第1話


なんでこんな仕事をしてるのだろう。


アイマスクをつけて手枷をして裸で待つ見知らぬ男を目の前に、ニナはふと首を傾げる。

だらしのない身体に、ちょっと気持ちが萎えてしまう。

時計に目を向ける。

目を閉じ、感情のスイッチをOFFにした。

スタート


『はじめまして』

男の耳元で囁いて吐息を吹きかける。

萎えたこちらとは対照的に男のソレは生き生きとしている。

男ってどうしようもないくらい、単純で可愛い生き物だとニナは思う。

マスクを外す前からこんなに興奮していては、外して私を直視したらどうなるんだろうと

男をいたぶりながら想像を膨らませる。

案の定

アイマスクを外した男は驚きと感嘆の声をあげた

こんな綺麗な人にいじめていただけるなんて!

満足そうに果てた男を送り出し


エンド


今日も満足していただけた。


帰りにフロントで給料を受け取りお財布にしまいながら

ニナの頭の中は今夜の晩御飯のメニューと材料のことでいっぱいだった。